具体的なコメントをつける
編集委員長
- カテゴリー名を直しても良いという場合は、具体的な代替案を提案する。(ID4)
編集委員
- 投稿に慣れていない大学院生の場合には具体的にコード名とカテゴリー間の関係性まで言及する。(ID8 )
- 目的と結果に一貫性がない論文で、目的の表現を変えればうまくいきそうな場合は、目的はどういうところなのか、結果からはこのように読み取ることができるけれども、というような返し方をする。(ID8 )
- 査読者にしても編集委員にしても、コメントするときに、「こういう作業をしてください」「ここをこう直してください」というコメントをするように伝えている。「ここが分かりません」というぼんやり否定だけするようなものは避ける。(ID1)
査読委員
- 著者が直せる範囲で、最低限ここさえ直してくれれば一応成立するというレベルのコメントをする。(ID1)
- 意義が分からない論文に対しても「この論文の意義が分かりません」「ちゃんと書いてください」とは書けない。代わりに「この分野の既存研究をレビューして、どこが明らかになっていなくて、そこを明らかにする意義は何なのか、ちゃんと書いてください」と書く。(ID2)
- 伝わるぐらいには具体的に、かつ相手をうんざりさせない程度に、という兼ね合いが難しい。(ID3)
- 査読コメントがうまく書けず、結果的に伝わらなかったと著者の修正を見て思うことがある。なので、なるべくコメントをつけている意図は書くようにしている。(ID3)
- 例は1つか2つだけ挙げて、あとは抽象的な表現にしておいて、「そのほかの部分についてもご検討ください」と書く。(ID3)
- 厳しい査読だけだけでは論文を取り下げてしまう投稿者が多いので、労をねぎらいつつ、どうやったら改善するのか建設的な意見を書く。(ID5)
失礼な表現や言葉遣いを避ける
編集委員長
- 査読コメントが初めて投稿する人にとっては少しきついことがあるので、どう表現を包むか気を遣っている。(ID4)
編集委員
- すごく的外れで攻撃的なコメントがあるときは、「このコメントはそんなに気にしなくていいですよ」と編集委員としてコメントすることもある。(ID1)
- 査読者同士の意見が分かれることは質的研究に限らずあるが「修正または適切な回答をしてください」と筆者に依頼すれば良いので、明らかに間違った査読コメントがあってもあまり消さない。よほど失礼なコメントは消してもいいとは思う。(ID7 )
査読委員
- 査読者は公開されないがお互いに研究者として尊重して、尊敬する先生に向かって書くような気持ち、言葉遣いでコメントを書く。(ID3)
- 著者に対して失礼な査読コメントがあれば査読者には断らずにこちらで消してから送るようにはしている。(ID3)
- コメントの書き方に関しても、受け止める側が査読者の意図する内容を理解すれば表現が厳しくても取り組む意欲が湧くと思うが、伝わりきらない場合は厳しかったり否定するような書き方がされていると良くは無い。(ID5)
悪い点も良い点も指摘する
編集委員長
- 査読者からの指摘事項はA 4で2〜4枚になることがあるが、担当編集者と編集長から論文の良い点と再投稿への励ましのコメントをつけて著者に返す。(ID4)
編集委員
- やる気を削ぐようなことは言わず、まずは良い点を述べてから「ここを修点が修正した方が更にいいです」と返すようにしている。最後に必ず「修正した論文を読むのを楽しみにしてます」「お待ちしてます」と一言添えて締めるように意識している。(ID8 )
査読コメントの量を制限している
編集委員
- 編集委員が細かいことを言うと3人も査読者がいるような形になるため査読の先生がどの程度指摘しているかを見て編集委員としてのコメントの加減を決める。(ID8 )
- 簡単に修正できるコメントはマイナーコメントとして具体的な提案とともに書いてもらい、本当にここを検討して直せ、というものは5個ぐらいにして欲しい。(ID1)
査読委員
- 査読のコメントは多くても10個まで。多すぎるコメントは査読のポイントも絞れてないと感じる。(ID2)
- 2回目以降の査読では1回目以上のコメントを書かないようにしようとすると、1回目に沢山書いてしまうことがあった。伝わるぐらいには具体的に、かつ相手をうんざりさせない程度に、という兼ね合いが難しい。(ID3)
- 自分の査読コメントに番号を振っていけば多くなったら気付ける。そして5個ぐらいに絞って端的に指摘するように心掛ける。(ID2)
スタンス
編集委員長
- 臨床家が最初に挑戦しやすい学術誌であるため、教育的に査読をしている。著者が長い期間かけても良いと言えば1年かけても査読のプロセスに載せる。(ID4)
- 質的研究の場合記はデータを再分析をしなくて済むような提案をしている(ID4)
- カテゴリ―が臨床の感覚にフィットせず伝わらないことが査読では一番多いが、そのカテゴリー名等直したくないと主張される場合はそれ以上深追いをしない。(ID4)
- 論文の投稿者も査読者も同じ研究者なので、査読者は投稿者を尊重するスタンスをもつ。(ID9)
- 画一的なお作法づくりの査読ではなく、一緒に論文を育てていくような査読を行いたい(ID9)
- 量的か質的か、手法や方法論は問わずに実践知を載せ、本人たちの考察や提案をまとめて発信することのサポートをする。(ID9)
- 論文を丁寧に書いたり査読したりする時代から数を捌くような時代に変わってきているように感じる。学校のレベルや修士の裾野が広がった面もある。(ID10)
- カテゴリーをどこまで指摘するのかも迷うが、出てきているものはそのまま指摘しない。(ID10)
- 初回の投稿から査読後の返信まで30日を目標にしている。(ID10)
- 1回目でリジェクトはあまりせず、コメントを元に直せるか直せないかを確認する暗黙のコンセンサスがある。それで査定回数が増えてくるようであれば、取り下げてもう書き直しを考えて貰うようにコメントする。(ID11)
- 書いている人がご自身の視点を持っているので、尊重する。(ID11)
- 査読者は割と教育的な、編集委員も非常にサポーティブなコメントを付ける。(ID11)
編集委員
- 査読者の意見が分かれた時は、編集委員として自分で決める。(ID1)
- 投稿者に合わせてコメントを変える。(ID8 )
査読委員
- 査読者の意見が分かれた時は、自分が思ったことを書いて、あとは編集委員に最終判定をお任せする。(ID2)
- データから垣間見える素晴らしさを出すために、というスタンスで査読意見を述べている。(ID3)
- 投稿されて来た研究論文は研究者が努力をしたものなので、質的研究だからといって否定をせず研究の意義を想像して、敬意をもつことが一番大事。(ID3)
- 学生は抄読会などゼミの中で、どのくらい鋭く指摘できるかがが重視されるが、それ以外の普通の場合は(この場合は査読)は、そうではない。(ID5)
その他
編集委員;査読コメントの調整/査読者へのスタンス
編集委員
- 査読委員が違う視点でコメントを入れていても、否定はしない。何か足りないと感じた時は編集委員からのコメントとして追加する。(ID7 )
- コメントを著者が読んで、既に適切に書かれているのであれば修正しなくても良いと思う。ボランティアで一生懸命やってくれている査読に対して、調整意見を言うことは違うと感じる。(ID7 )
査読委員
- 直接編集者としては査読者と筆者の間に入ってやりとりはしない。編集者も著者へコメントは書けるので査読者の意見も承知している事が伝わるように書いている。(ID3)
- 著者へは「査読者のこの意見に対応してください」、査読者に2回目を依頼する時は「何度もありがとうございます」と一言書き添える。(ID3)
- 査読は著者も査読者も両方大変。査読意見が査読者の心情に影響されることもあるので、査読者が気持ちよくできるようにしたい。(ID3)
- 査読者のコメントに少し違和感があるときは、編集者として必ずしも対応を要するわけではない事が伝わるような形で返す。(ID3)